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ロシアの
軍事機構に
燃料を注ぐ

ウクライナ侵攻の資金調達に手を
貸しているアジア

高騰する食料価格。空になった食料品店の棚。閉鎖された給油ポンプ。

これらは、ロシア軍に包囲されたウクライナから数千キロ先で暮らすアジアの市民にとって日常の光景であり、2月末にはるか遠くで開始した戦争の連鎖反応です。

しかし、研究が示すところによれば、アジアは地政学的な紛争の副産物の被害者にただ無意識のうちになっているわけではありません。

アジア(東アジア主要国も含めて)は、ロシアから化石燃料を輸入することにより間接的に戦争を支援しています。

ウクライナでは何が
起こっている?

ロシアがウクライナに侵攻を始めてから5カ月以上が経過しました。

侵攻により、数千人の市民が殺害され、マリウポリなどの主要都市が破壊されました。何千万人もの難民が近隣諸国に逃れています。経済学者は、ウクライナ経済の再建には1 兆ユーロ近くかかると見積もっています。

継続するウクライナ侵攻と
化石燃料との関わり

ロシアの戦争遂行努力は、化石燃料収益によって可能となり、維持されてきました。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2021年には、石油・天然ガス収入がロシアの連邦予算の約45%を占めていました。

ロシアの財務相は5月27日にロシア国営テレビにて、今年の石油・天然ガス追加収入1兆ルーブル(約170億ユーロ)の一部が「特別軍事作戦」を実施するために使われることになると発言し、この関係性を認めたように見受けられました。

ファクト1:

アジアによる化石燃料の輸入は、
ウクライナ侵攻とつながっている。

欧州が年末までにロシアからの化石燃料輸入を段階的に廃止し、再生可能エネルギーの発電能力を拡大する計画を加速させる中、アジアはそれに取って代わろうとしています。

エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)によると、2022年7月31日時点で中国は、ロシア産化石燃料の世界最大の輸入国となっており、インドと共に急速にロシア産石油の最大の買い手となりつつあります。

この地図上で採用および提示されている資料は、特定の国、領土、都市、地域やその当局の法的地位、または境界や国境の策定に関して、CREA側の意見の表明を意味するものではありません。

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各国の指導者は、エネルギー安全保障、経済発展、環境・気候保護という3つのエネルギー目標を調整しています。

これは、エネルギーのほとんど全てを輸入している東アジア諸国にとりわけ当てはまります。ロシア・ウクライナ戦争は、もう一つの目標、すなわち国際正義を付加するものです。

ウェイミン・チェン

(デラウェア大学・政策科学者)

東アジアの役割は、ロシアからの輸入を
品目別に見るとより明確になる。

ロシア産化石燃料の輸入量の多い国

(7月31日時点)

日本
日本はロシア産石炭の

輸入では世界第3位、

液化天然ガス(LNG)の

輸入では世界第4位でした。

台湾

台湾は石炭の輸入では

世界第5位、LNGの輸入では

世界第8位でした。

韓国

韓国は石炭およびLNGの輸入で

世界第7位でした。

Where the fossil fuels are heaing in East Asia

東アジアにおけるロシア産化石燃料の仕向地

韓国は、ロシア産原油の
主要ハブ。

韓国で人気の休暇旅行先である麗水(ヨス)は、中国、オランダ 、ベルギーに次ぐ、

世界で5番目に大きいロシア産原油の輸入港です。

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台湾は、ロシア産石炭の輸入上位国。

7月31日時点では、台湾の高雄港は世界で4番目に大きいロシア産石炭の輸入港でした。

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日本の港は、ロシア産LNGの
輸入で上位入り。

日本の木更津港は、ヨーロッパ諸国および中国に次ぐ、

世界で9番目に大きいロシア産LNGの輸入港となっていました。

Top East Asian companies receiving Russia fossil fuels

ロシア産化石燃料を多く
受け入れている東アジアの企業

2月24日(ウクライナ侵攻の開始日)から7月31日にかけて、韓国、日本、および台湾の

企業30社超がロシアから出荷された化石燃料を受け入れました。

輸入を行っている企業の上位10社は以下の通りです。

日本

台湾

韓国

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上位10社には、世界的な鉄鋼大手の1社(ポスコ)や、プロ野球セントラル・リーグのスポンサーでもある日本のエネルギー最大手(JERA)などが名を連ねています。

 

上位10社以外で受入を行った企業の中には、三菱マテリアル、住友大阪セメント、現代製鉄、日本製鉄などの有名企業も含まれています。

注:

  • 確認できた企業名のみ記載しています。未確認の受入企業は含まれていません。

  • ロシア産エネルギーの輸入停止を公表していない企業のみ記載しています。そのため、一部の記載企業よりも輸入額が大きいもののENEOSは除外しています。

台湾、日本、および韓国の企業ごとの輸入額については、下のスライダーを

スワイプしてください。

日本で輸入額No.1:
JERA

日本では、7月31日時点の輸入額で見ると、JERAが最大の輸入者となっており、推定8億2,540万円ユーロ相当のLNG、原油、石炭を輸入しています。

東アジアの企業は、
依然としてエネルギー輸入禁止措置で遅れをとっている。

企業はロシアからの輸入の全面禁止を約束していませんが、一部の企業はロシア産エネルギーの輸入をやめる方向で措置を講じています。

 

例えば、当該部門の匿名情報筋によれば、2月には韓国の国営電力会社である韓国電力公社(KEPCO)の少なくとも1部門が、ロシア依存から脱却すべく石炭輸入先の「多様化」を図り始めています。3月、4月には、日本の九州電力とENEOSが今後はロシア産の原油および石炭の購入を行わないと述べました。

日本の石油会社である太陽石油は、日本がロシア産石油の輸入を禁止する決定を下したことを受けて、新規契約への調印を保留しました。台湾の国営ガス会社である台湾中油は、3月に終了したロシアとの5年間のLNG契約を更新しないと述べました(注:それにもかかわらずCREAは、5月にロシアの港からの輸入(おそらくスポット購入)を確認しました)。

 

7月31日時点では、これら以外の上記企業は、ロシアからの輸入を全面的に禁止する方針をまだ提示していません。

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日本、韓国、ならびに台湾は、いずれもロシア産LNGと石炭の10大輸入国に名を連ねており、侵攻開始以来、合計で約50億ユーロ相当の化石燃料を輸入しています。輸入の全面禁止への移行は、重要な道徳的リーダーシップを示すと共に、エネルギー恐喝から国を守ることにより各国のエネルギー安全保障を改善するでしょう。EU諸国によるロシア産石炭・石油の輸入禁止措置が年末までに実施されると、東アジア諸国は原則的にロシア産化石燃料のトップバイヤーとしてあとに残されることになります。

ラウリ・ミルヴィエルタ

(エネルギー・クリーンエア研究センター・主任研究員)

化石燃料の消費は世界的にも、アジアでも
理にかなっていない。

化石燃料は地政学的な紛争に拍車をかけるだけでなく、東アジアを含む世界の多くの地域において財政的に理にかなっていません。

 

ウクライナでの戦争は、世界のLNG価格を記録的なレベルに押し上げており、エネルギー国内供給を輸入LNGに大きく依存している日本や韓国のような国に打撃を与えています。

さらに、下の図からわかるように、気候シンクタンク「カーボン・トラッカー・イニシアティブ」の2022年4月8日付けのデータによれば、太陽光はガス火力よりもすでに安いか、そうでなければ韓国では2023年、日本では2025年までには安くなります。

注:同グラフは韓国と日本の両方の値の平均を示しています。

EUがロシア産ガスの代替として中東に期待を寄せる中、韓国もまた同様のロジックを適用しています。韓国のオンライン金融メディア「ファイナンシャルニュース」の

7月付けのリポートによると、韓国の中東からの石油輸入は、過去5年間では減少が続いていたにもかかわらず今年は4.5%増加しています。しかし、世界的に再生可能エネルギーのコストは石炭、石油、天然ガスのコストを引き続き下回っていることから、他の地域から化石燃料を調達することは間違った解決策です。

コスト面にとどまらず、再生可能エネルギーへの移行は、世界の長期的な安定という点で理にかなっていると専門家は言います。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、化石燃料の燃焼によって排出される二酸化炭素は地球の気温を上昇させ、政治・経済エコシステムが脆弱な国々において食料不安や移住、紛争の可能性を高めます。再生可能エネルギーに依拠したエネルギーシステムは、これらのリスクを軽減します。

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化石燃料への継続的な投資は気候変動を加速させ、往々にして独裁的な政権に対する国々の依存と脆弱性を永続させることになります。各国が化石燃料フリーの経済に向けて必要とされるエネルギー移行を受け入れ、再生可能エネルギーに投資すれば、より少ない資源でより多くのことを行い得るうえ、その時になればより強靭な平和を確保できるかもしれません。

フロリアン・クランプ

(SIPRI気候変動とリスクプログラム・ディレクター兼上級研究員)

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化石燃料に取って
代わるものとは?

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、今年6月に開催されたオーストリア・ワールド・サミットでのスピーチにおいて、再生可能エネルギーを「21世紀の平和計画」と称しました。

 

東アジアによるロシア産化石燃料への資金供給を削減することは、最初の一歩にすぎません。各国はエネルギーシステム全体を再生可能エネルギーに移行することを目指すべきです。経済面だけでなく、世界平和と気温もまたそれを必要としています。

過去に再生可能エネルギーに多額の投資を行っていれば、化石燃料市場の不安定さにこれほど激しく翻弄されることはなかったでしょう。エネルギー安全保障、安定した電力価格、繁栄、そして住みやすい地球への唯一の真の道とは、大気を汚染する化石燃料、とりわけ石炭から脱却し、再生可能エネルギーを主軸とするエネルギー移行を加速することにあります。

アントニオ・グテーレス

(国連事務総長)

ロシアのウクライナ侵攻に手を
貸すのをやめるために国や企業は何をすべきか?

その大半は制裁を講じ、ロシア産化石燃料の代替品を探しており、正しい方向に向かっています。しかし、実行、一貫性、適用範囲という点では欠落が見られます。CREAによると、アジアがロシアの軍事機構に燃料を注ぐのをやめるためにできることがいくつかあります。

ロシア産化石燃料の購入国・企業は次のようにすべきです。

end all purchases of Russian fossil fuel
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ロシア産化石燃料の購入を全面的に停止する。これは制裁の効果を高め、ロシアの戦争遂行努力を弱体化させます。

事業縮小ないし移行期間において全面禁止が適切でない場合には、購入者を抑止し、また、スポット市場でロシアのサプライヤーに支払われる金額を抑えるために、ロシアからの輸入品に

関税を課す

ロシア産化石燃料を再生可能エネルギーに置き換える計画を策定し、エネルギー効率および省エネ対策を早急に強化する。これにより、経済、健康、ならびに国家安全保障の面で遠大な利益がもたらされます。

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ウクライナの平和をサポートしましょう。

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日本と韓国における太陽光とガス火力の価格比較図を除き、同サイトに記載の情報はすべてエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)により提供されており、最終更新は2022年7月31日に行われました。CREAは、科学的なデータ、研究ならびにエビデンスを用いて、クリーンエネルギーおよびクリーンエアへの移行に向けた世界各国の政府や企業、キャンペーン団体の取り組みを支援しています。

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